8人が本棚に入れています
本棚に追加
「写真撮らないの??」
「…」
自然と、涙が流れた
こんな美しい場所が
時代の流れに沿って、今
消えようとしている…
「あ、ウサさん!!」
私の気持ちとは裏腹に、彼女はウサギを追い掛ける
そんな彼女にシャッターを落とし、その後、何枚もその風景を焼き付けた
「とった!!」
「ウサギ採ってどうする」
「何って…お鍋に入れるの」
「離してあげなさい」
「やだね~。あたし、ウサさんのお肉好きだもんっ」
べ~っと、舌を見せる
呆れたように、ふぅとため息をつき、草の上に座った
「やっぱり、ここにいると、落ち着くな」
「あたしも多度好きっ」
片手でウサギの首根っこを掴んだまま、私の横に座る
「あ~ぁ、死んじゃった」
「大丈夫、気絶させてるだけ」
「どうやって」
「えいっ!!って、どつくの。早くウサさん食べたいな~」
「ふっ…」
無邪気な彼女と、この風景
彼女は、ここにいるべき存在なんだな…
「あたし、お家にウサさん置いてくる。お散歩しながら帰って来てね」
「気をつけてな」
ウサギを掴んだまま、彼女は颯爽と走っていった
「あ~!!そうだ~!!」
最初のコメントを投稿しよう!