六話目~何もない“最高”の風景~

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「写真撮らないの??」 「…」 自然と、涙が流れた こんな美しい場所が 時代の流れに沿って、今 消えようとしている… 「あ、ウサさん!!」 私の気持ちとは裏腹に、彼女はウサギを追い掛ける そんな彼女にシャッターを落とし、その後、何枚もその風景を焼き付けた 「とった!!」 「ウサギ採ってどうする」 「何って…お鍋に入れるの」 「離してあげなさい」 「やだね~。あたし、ウサさんのお肉好きだもんっ」 べ~っと、舌を見せる 呆れたように、ふぅとため息をつき、草の上に座った 「やっぱり、ここにいると、落ち着くな」 「あたしも多度好きっ」 片手でウサギの首根っこを掴んだまま、私の横に座る 「あ~ぁ、死んじゃった」 「大丈夫、気絶させてるだけ」 「どうやって」 「えいっ!!って、どつくの。早くウサさん食べたいな~」 「ふっ…」 無邪気な彼女と、この風景 彼女は、ここにいるべき存在なんだな… 「あたし、お家にウサさん置いてくる。お散歩しながら帰って来てね」 「気をつけてな」 ウサギを掴んだまま、彼女は颯爽と走っていった 「あ~!!そうだ~!!」
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