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高まる思いを抑えながら、いつもの自分を演じて過ごす。
明日、明日になればゲームが始まる。
遠足の前の小学生のように眠れぬ夜を迎えた。
翌朝、ついにこの日を迎えた。 殺戮ゲームの開始日だ。
7時30分、いつも家を出ている時間だが、今日は気分が浮ついて20分も早く家を出た。
いつもの道も輝いて見える。
「おはようございます」
いつも以上にすれ違う人に挨拶をしている。
そして見慣れた校門の前に着いた。
「はぁー…」
いよいよ始まる、輝きに満ちた学園生活。
捉え方によっては地獄の日々かもしれない。
居ても立ってもいられなくて、走って校舎へ向かう。
階段も、途中でつまずきながら一気に駆け上がっていく。
そして教室に入るとき、つい大声で挨拶をしてしまった。
急いでごまかすが、クラスメイトの何人かは違和感を感じ取っていた。
周りの目を気にしながら、教室の中に進む。
「山下さん、ちょっと良いかな?」
教室の奥、窓際で一人読書をしている女の子に声をかけた。
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