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16歳。
好奇心。
残酷なくらい純粋な思いによって殺人を犯す。
ペースの早い心臓の高鳴りがまだ止まない。
赤い液体、独特のニオイが漂う中で、一人立ち尽くす。
まるでこの世界には僕しかいないのかと思う程、周りの音が聞こえない。
聞こえないというよりは、聞くつもりが無い。
そんなことどうでもいい、これが正しいかもしれない。
目を閉じれば彼女の命が尽きる瞬間が鮮明に蘇る。
これが命……。
これが死……。
ありがとう。
君のお陰で知ることが出来た。
魂の抜けた入れ物を、強く抱きしめた。
まだ温もりを感じることが出来る入れ物。
それを愛おしく抱きしめた。
罪悪感は微塵も無かった。
ただ心は感謝でいっぱいだった。
今まで一杯になったことが無かった心を、初めて満たしてくれた。
余韻に浸っている、そんな時に屋上の扉が開いた。
ガチャ、キィー。
だが、気がつかない。
なぜなら頭の中は、さっきの余韻で一杯だからだ。
タッ、タッ、タッ。
あしどりの重い人が近づいてくる。
そして目の前で歩みを止める。
その時ようやく人の存在に気づいた。
フッと顔をあげて、その顔を見る。
そこには、クラスメイトの男が立っていた。
名前は、忘れた。
青ざめた顔、瞳孔も口も開いたまま。
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