当てのないドライブ

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当てもなく、遼は車を走らせていた。 遼『暇だけん、カラオケ行こ』 【カラオケとか…初対面でカラオケってきつすぎる😱】 って思ってたけど、遠慮がちな性格の私は りぃ『うん。いいよ』と言った。 男とカラオケなんて生まれて初めての経験… 遼は店員に、『フリータイムで』と言い、部屋へ。 遼から先に歌いだし、歌う曲は、女だったら絶対歌われたらやばいでしょって感じの歌ばっかり歌ってて… 【この人、何か計算高い】って感じた。 歌う曲のセレクトとか… それから一時間で遼は飽きてきたらしく、 『これからI市向かうかぁ』と言いだし、I市へ。 それからボーリングなど色んな場所へ行った。 適当な場所に車を停め、遼がいきなり話だした。 遼『あのさぁ、りぃさ、俺との専用の携帯もて』 りぃ『携帯?!そんなん買えるわけないじゃん』 遼『違うっつうに!携帯は俺が買ったるけん。その変わり俺以外と電話もメールもダメだで』 しばし一分くらいの沈黙… りぃ『何って言ったらいいのか分からんのだけど…そんなん言われたの初めてだし』 遼『こんな事、俺誰にでも言わんで?りぃを信じてるけ、言っとるんだで』 遼『で、どうするん?』 【信じてる】って言葉は重い。 りぃ『あぁ…うん…』 【圧倒された私は、悪い気持ちを抱えながらauショップへ…。】 店員『いらっしゃいませ』 遼『あーこれの白とピンクのやつちょうだい』 遼は迷いも無く、まぁまぁ新しい機種のを指差している。 私はこんな事初めてなのでどうしたらいいか分からないでいた。 店員『こちらですね?でしたら、あちらのお席にお座り下さい。』と言われ、私たちは座った。 色々説明は続いて…遼は何度か軽く『うん』と言い、店員からの説明を面倒くさそうに受け流している。 店員『でしたら携帯のお渡しまで30分程お時間がかかりますので、後ほど来店されてもよろしいですよ。』 遼『分かった。ならまた後でくるわ』と馴れ馴れしい口調で伝えた。 車に戻り、私が重い口を開いた。 本気で携帯を買った遼に対する思いと、買ってもらった事が嬉しいけど、どうしようと二つの矛盾した思いが葛藤していた。 りぃ『ありがとう…でも本当にこんな事…いいの?』 遼『さっきもゆうたけど、俺は誰にでもこんなことせん。信じた女にしか与えん』 この時、私はうすうす気づいていた。 前にも女に携帯を買い与えた事があるのだと。
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