桜の中で

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 新しいクラスの新しい教室  毎年淡い期待を抱く。  『あの‥、湖南菜摘さん?』  ふいに名前を呼ばれ振り向くと  『俺、棚橋宏。よろしく』  そう言った彼は今朝の電話の  彼だった。  「あ‥さっきの  隣の席だしよろしくね」  『あー‥  やっぱり聞かれてた?』  恥ずかしそうに笑う彼。    『彼女、ちがう学校でさ  なんかね浮気とかうるさくて。  でも聞かれてたかーっ!  恥ずかしいな、俺。』  本当に恥ずかしそうに話す  棚橋くんが心から幸せそうに  見えるから  こんなに愛されてる彼女は  どんな子なんだろう  なんてちょっとうらやましく  なった。
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