アノ子

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そんなある日 給湯室に入る彼女の後ろ姿を見付けて、後をつけた 軽くストーカーだ 給湯室の冷蔵庫に、缶珈琲を入れてたのを思い出し うっかり偶然を装い、狭い給湯室に滑り込む 「あ、お疲れ様です」 相変わらずの愛想のいい笑顔 フニャッとした笑顔が、何故だか憎たらしい 「ああ、お疲れ」 バカみたいに無関心を装って返事する自分が、ひたすら痛い 冷蔵庫を開けてみたところで、用事はすぐに済むわけだ 特に会話を広げれない俺は、彼女に聞こえないよう小さく溜め息をはいた 「先輩」 可愛い声が、背後から響く 「んあ?」 その声に振り向くと、やたら真面目な顔で彼女が呟いた 「先輩、って。彼女いるんですか?」 「は?なんで?」 不意討ちで、驚いた
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