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「……何の、冗談?」
「冗談でこんな高いもん買わねーよ。
開けてみたら。」
ぶっきらぼう。
そう、そういう男なのに、目尻の笑い皺は、私の大好きなにやけた顔で。
箱は思ったよりも重く、少し指先に力を入れ、私はまだ渋い顔をしたまま、その中を確認した
「お前、ホントにずっと俺の気持ちに気づいてなかったの?」
信じられない、と
私は声も出なくて彼の顔をじっと見つめた
「泣くなよ」
いつの間にか、溢れだしていた涙が、頬に弧を描く。
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