18人が本棚に入れています
本棚に追加
/40ページ
◆
蒸し暑い、梅雨の名残をまだ感じる夏の日のことだった。
今年の4月に高校生になった波流は行く宛もなくただブラブラと歩いていた。
時刻はまだ4時を過ぎた頃で昼と同じくらい明るかったが、それとは反対に波流の心は暗かった。
悟とケンカしてしまった、どうしよう、と昼過ぎからずっとそればかり考えている。
気づいたら、市内を横切るようにして流れる川の、沿道を歩き始めていたのだ。
「はぁ……」
最初のコメントを投稿しよう!