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何回目か分からないため息を漏らす。
だがそれは悟に対する罪悪感からではなく、言いようのない空虚感からのものだった。
私は、何のために悟と付き合っているのだろう。
綺麗事無しに心から悟を愛しているか、と聞かれても肯定できる自信がない、
というか、16歳にそんなことが分かる訳ないじゃないか、と。
ふと波流の脳内に、懐かしい高校の教室が再現された。
先生がいて、同級生がいて、みんなが窮屈に押し込められている、あの教室。
でも、不登校になった理由はそんなことじゃない。
ただ何となく、強いて言うならただ悟と遊びたかったから、だろうか。
学校の閉塞感なんて後付けだ。本当に、ただ何となく学校に行かなくなった。
最近では、それと同じようにただ何となく、悟と付き合っているような気がしてしまうのだ。
今日のケンカもそんな自分の感情が発端だったのかもしれない。
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