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しかしどんなに頭を捻っても、『仕事』が思い出せません。
「仕事道具は、いつもの場所にあるから、見てみるといいわ」
太陽は、彼の後ろに目をやりました。
彼も振り替えってみますと、幾つかのバケツと、大きな筆が一本ありました。
「そうだ。確かにあれを使っていた。しかし、何に使うのだろう」
少し思い出しましたが、全ての記憶は戻りません。
彼はそれに近付いて、大きな筆を握ってみました。
筆は、彼の手にしっかりと馴染みました。
「あぁ、そうだ。思い出したぞ」
その感触やバケツの中身の匂いで、彼は大好きであった『仕事』を思い出しました。
その時太陽が言いました。
「思い出したのね。いよいよ時間よ。よろしく頼むわね」
完全に記憶が戻った彼は頷き、絵の具の入ったバケツを掴みました。
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