銀の種

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朝になったら、おはようで仲直り。 僕はそう願って眠りについた。 夢うつつに夜霧のシャワーを浴びて、僕と君が生まれた日を思い出す。 僕は陽向にのんびりと。 君はその日陰で力強く。 厳しい生存競争の果てに切磋琢磨を加えて、精一杯背伸びしながら逞しく。 朝になった。 君のいた場所に、違う顔があった。 「おはよう、パンジー君」 「おはよう、ひまわりさん」 新しく植えられた隣人は、僕を昨日までの君に変えた。 僕も君のように力強く、太陽に手を伸ばそう。
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