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念の為持ってきておいたシグナル・フレーム用の装備、ガトリングガン≪ヨルムンガンド≫を両手で持ち、格納庫の最後尾へと進む。
「開けてくれ」
『了解』
格納庫の蓋が開き、青い空が見える。おそらく下を向けば地上を隠している白い雲があるだろう。
『先生は出撃時の口上は言う派ですか?』
「いや、言わない。…だがまあ、今回はだけはノってやるよ」
先端につま先を掛け、膝を少し曲げる。NSを展開し、背中の4基あるメインブースターを吹かせる。ヨルムンガンドのトリガーを右手に、6連砲身の腹を左手に、抱えるようにして持つ。
最後にもう一度ブースターを確認。上下左右にちゃんと動く。
「上城詩紀―――行ってくる」
そして鉄の巨人が空を飛んだ。
― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ―
『殺さないから―――恨まないでくれよ』
言葉と共に敵が来た。下から。それも真下。
敵が今まで視界に映らなったのは雲の中に隠れていたからだ。
「――――なっ」
まず真正面から来ることは無いと読んでいた。来るならブースターを狙った、背後からの格闘による一撃。少女はそれに合わせる為、完全に意識を背中に向けていた。
死角から来られた。完全な盲点だ。
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