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「――――くっ」
少女は慌ててナイフを手に掛け構えようとする。しかし隙ができ一手遅れて行動を始めた少女に、傭兵は躊躇せず残りの右腕をNSごとENブレードで切り裂いた。独特の薄い青のNSの破片が空に舞い散る中を、切り離された右腕が重力に引かれながら落下し、白い雲に飲み込まれていった。
「そんな……」
―――いや待て、まだ何か!
他に武装は? ノーマルタイプだからそもそも手に持つ武器以外はそうびしていない。
玉砕覚悟で敵に機体をぶつける? それじゃただのNSの力比べにしかならない。
逃げ切るのは? 機体破損で既に出力が50%切っているのから無理にきまっている。
そもそも相手と力の差がありすぎる。自分は第3世代パイロットとはいえ、ただの学生に過ぎない。相手は多くの戦場を乗り越えてきたであろう、プロの傭兵。おまけに機体はこちらと同じ第3世代。勝てる訳が無いのだ。
―――やっぱり最初から無理だったのかな…
自分はあの学校に入る時決めたのに。あの時助けてくれた人みたいになりたいって。パイロットになって誰かを守れるようになりたいって。どんなに辛くても頑張ろうって。諦めないって。
それが今の自分はどうだ。理由はあれどあの学校から逃げ出して。傷つきながら都市からも逃げ出して。挙句の果てにはここで負ける。
―――悔しいっ…!
自分の弱さに泣きたくなった。悔しかった。でも何もできない。
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