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詩紀は今の言葉に疑問を感じた。とりあえず返答してみる。
「『機体を』?パイロットじゃないのか?」
傭兵から通信が返ってくる。因みに1対1通信だ。
『ああ、そうだ』
―――ということはパイロットが目的では無い、と。
詩紀は少女に通信を入れた。
「助けてなんだが、機体を渡せば見逃してやるって言っているぞ。機体渡せば?」
『渡すくらいならこの機体と自爆した方がましよ!』
て言うかまだ全通信なのか。まあその通信を拾ったから俺がここにいる訳で。
さて、どうしたものか。もしこの自爆願望のある少女を助けると選択してしまえば、目の前にいる傭兵と戦わなくてはならなくなる。なるべくなら戦闘は避けたい。いくらこの機体がアホみたく堅くても自分が死ぬ可能性はあるのだ。
そもそもこの少女を助けてメリットが無い。いくら教師と言えど、他都市の人間をノーリターンで守るほど出来た人間じゃない。今の時代は特にそうだ。
―――だがこの少女は『助けて』と言った。それも今にも泣きそうな声で。
迷ったすえ、少女に通信を入れる。
「なあ…助けてほしいか?」
少しの間沈黙があり
『…ここまで頑張ったけど私の力じゃもう無理…諦めないって決めてたのに…最後まで頑張るって……』
『これは自分に対しての甘えだと思う…だからもう甘えないから…』
『自分でも迷惑だと思う…でも偶然あなたが来てくれたから…』
『もう一度がんばるから…諦めないから…一度だけでいいからぁ…』
『お願いします………私を―――たすけて』
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