1話前半

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― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― 「なんで俺がパシられてんだ…」 「ならなんで僕は強引に連れてこられたんですか…」 空を輸送機が飛んでいる。大きさは他のものより一回り小さい。その輸送機の操縦席に男が2人座っている。1人はスーツ姿で、もう一人は学生服だ。スーツの男は両手を頭の後ろに組み、学生服の少年は輸送機の操縦桿を握っている。 「これも、社会学習の一環だ。授業に出ず単位が貰えるからお得だろ―――千条」 「別に僕じゃなくても良かった気がするんですが―――上城先生」 スーツを着た男―――上城 詩紀は午前の授業が終わったあと校内放送で学園長室に呼び出された。そこで学園長にとある空中都市から輸送されるはずの荷物が中々届かないから直接もらってきてくれと頼まれのだ。面倒くさい事を頼まれたと思いながら、自分が担当している教室へ行き道連れを探した。 「なんでそこで僕になるんですか?他に誰かいたでしょう?」 「まず搬入作業なら技術組なのは確定だろ。で、荷物がパーツだから必然的に整備班になる。そんでもって、2人きりだから相方が普通のやつじゃないと俺が疲れる。そうなると、なぁ…?」 千条は「あぁ…」とつぶやきながらクラスの面々を思い出し 「確かにうちのクラスはちょっとあれですからね。1/3が戦闘組で、のこりが技術組。その中の開発班は頭の中が超空間。整備班はこの前、恭介の機体を魔法少女物の萌えキャラ風にデコってイタくしてましたからね。本人に無許可で」 「ああ、あの事件か。確か開発班も悪ノリして『魔法のステッキ☆』って名前の新型EN兵器作っていたな。名前の通り魔法みたいな星型の超極太エネルギー砲を照射できるやつだったなあれは」 「ええ。試し射ちで都市の城塞クラスの壁に星型の穴が空いたんですよね。そのせいで、一時期、生徒の間では告白のスポットになっていたそうですよ。なんでも星が恋を叶えてくれるって」 「あの威力は想いを紡ぐなんてレベルじゃなかったぞ。むしろ壊すというか消し去る勢いだったな」 その後、あまりにも威力が強すぎた為、名前を『魔法のステッキ☆』から『魔王のステッキ☆』に変えたそうな。
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