卒業

2/3
前へ
/5ページ
次へ
   卒業式。  僕はひとり教室に残って、らしくもなく感傷に浸っていた。 「あれ? 陸君?」  声に振り返る。  入り口にいたのは、優しい笑顔を浮かべた彼女。  艶やかな黒の長髪。アーモンド型の黒い瞳。  …僕の好きな人。  急に最後なんだと自覚して、苦しいくらい想いが込み上げて来た。  カラカラに渇いた喉。 「あの」  情けなく震える僕の声に、ん? と彼女が首を傾げる。 「好きなんだけど」  自分でも生意気だと思う告白。返って来たのは―  
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加