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卒業式。
僕はひとり教室に残って、らしくもなく感傷に浸っていた。
「あれ? 陸君?」
声に振り返る。
入り口にいたのは、優しい笑顔を浮かべた彼女。
艶やかな黒の長髪。アーモンド型の黒い瞳。
…僕の好きな人。
急に最後なんだと自覚して、苦しいくらい想いが込み上げて来た。
カラカラに渇いた喉。
「あの」
情けなく震える僕の声に、ん? と彼女が首を傾げる。
「好きなんだけど」
自分でも生意気だと思う告白。返って来たのは―
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