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縄を垂らし、それを伝い、ようやく壁の向こう側へと辿り着いた。周りの景色は壁の外とさほど変わらなかった。だが、へこたれることはない。自分はこの壁を乗り越えたことで成長できたのだから。
少しばかり歩くと一人の女と出会った。壁の内側の人間だろうか。しかし、話しを聞いてみるとそうではないらしい。とはいえ、腕はか細く、あの壁を乗り越えたとは到底思えなかった。
どのようにして抜けたのかと聞くと女は壁を指差した。
そちらに目を向けると、自分が使った縄のさらに先に巨大な扉があった。
口をあんぐりと開け、扉を見つめていると、女が労うように肩をポンポンと叩いてくれた。
虚脱感が胸を襲った。
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