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緋鷺の携帯から太幡尚孝のアドレスが消えた。
その日を境に不在着信が増えた。
「………緋鷺。携帯なってるぞ」
遅くなる両親に代わって晩御飯の準備をする幼馴染みの大羅の隣で、緋鷺も手伝いをしていたが軽く首を振った。
「……いいの。アレは」
コンニャクに一つ一つ切れ目を入れる緋鷺を大羅はチラリと見たが、すぐに続きを始めた。
「……………いたっ…」
ボンヤリとしていたせいだろうか…
緋鷺の指先からジワリと血だまりが浮き上がる。
「あーあ……何してんの」
大羅は呆れて緋鷺の手をとった。
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