千葉国―01

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とことこ そんな音を立てながら、うつむき気味に翡翠は廊下を歩く。 うなじの辺りで結われた長い金糸が揺れる。所々で好き勝手にはねるネコ毛が、ふわふわと空調にそよいだ。伏せられた大きな瞳は水をたたえ、優しい藤色をしている。 明るい金髪に、紫の目。 どこか名前負けしている、気弱そうな彼女の話をする為には、少しばかり過去にさかのぼり、今この国で起こっている"戦争"について語らなければならない。
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