猫たちの一番長い日

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この日は 朝から 穏やかな風が吹いていた。 小春日和というのだろうか 富岩運河への花見の客も減り 残飯(私たちにとってはご馳走なのだが)も少なくなった頃だった。 穏やかな風と共に あちこちで 私たちの 仲間の鳴き声が聞こえる。 「ニャーニャー!」 「ニャーニャー!」 「やられたー!」 私たちを 捕獲するため 人間たちが罠をしかけたのだ。 その罠の数 およそ 150 富岩運河には 多いときで 100匹もの仲間がいたらしいが 私が来た頃には すでに40匹 今じゃ 30匹いるかいないかである。 住みにくいと ここを去ったものもいれば お腹をすかせて 亡くなって逝ったものもいた。 その残り少ない仲間たちを 人間たちは 捕獲しようとしているのだ。
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