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プレゼントのトランペットを手にし、馴染みの町に名残惜しみつつも駅へと向かった。
駅前に差し掛かると、不審な老人を見かけた。
きょろきょろと何かを探すような眼差しで散々辺りを見回していた彼は、突然こちらを目指し駆け寄って来た。
『雄一君、雄一君じゃないのか?』
深いしわという年輪を顔中に刻み込んだ老人は、俺が生まれた時から家に居た執事の佐野さんだった。
「佐野さん、お久しぶりです、今はどちらにお住まいなんですか?」
『あぁ、隣町の米花町に住んでいるんだ。』
「そうですか、お元気そうでなによりです。」
『しかし、今年の冬は寒過ぎる、…そうだ、これを飲んで温まりなさい。』
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