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そして、投球練習が始まろうとしていた
相手のチームを逆転がかかっているため、そのピッチャーの投球に注目していた
小柄なピッチャーは
足をあげると同時に上体をひねり左肩を入れ、肘をあまり曲げずに
そして、上体を傾け腕から体の軸が一直線になるように投げていた
球速は先ほどの6年生と比べると遅いが、キャッチャーのミットにおさまる音は先ほどのピッチャーにくらべてよかった
しかし、相手チームはみな心の中で
さっきのピッチャーほどではない
そう感じて、目を合わせたり、話し始めた
投球練習が終わりバッターが打席に入った
「お願いしまーす!」
試合が再開されると、逆転ムードの攻撃側のチームは声をだし、場を盛り上げた
キャッチャーは初球、バッターが球筋を見てくることを予測して、ど真ん中に構えていた
それを見た、ピッチャーはうなずかずに投げる
普通のピッチャーなら
もし、相手が初球の球を狙ってくる可能性もあるため、首を振ったり、迷うかもしれない
だが、このピッチャーがサインに首を振るなんてことはないため、いちいちうなずかないのだ
振りかぶって投げた一球目はキャッチャーの構えた通り真ん中に投げ、ストライクとなった
しかし、驚いたのかバッターはキャッチャーのミットを見ていて、構えるのが遅れた
そして2球目
バッターはボールを打とうするが、スイングのリズムを崩し、体制が崩れた
(こんな、ボール打てねーよ)
なぜなら、そのピッチャーの投げる球はもはや魔球みたいなものだ
もちろん、少年野球では変化球は禁じられてるため、ただのストレートではあるが……
上体を反って、肘を伸ばし気味に高い位置から投げていたため、ボールに落差があるのもそうだが
なんといっても、とてもリラックスして、腕をしならせて投げ、ボールに伸びがあり、手元で急に伸びたためバッターはスイングのリズムを壊し、しりもちをつく形となった
何しろ、体幹がしっかりしているので、その球を投げられる一番の理由だろう
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