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「あ、そうそう。これね、お母さんが旅行行ってその時のお土産なんだけど…。甘いものは大丈夫でしょ?」
僕は紙袋に手を伸ばすと中から紙で包装された長方形の箱を出した。
ちゃんと商品名がわかるように箱を180度回転させて。
「え!? いいの? ありがとう。嬉しい!」
クリスタルは受け取ると箱を胸に抱きしめて目を輝かせながらお礼を言った。
その笑顔を見ると僕まで自然と笑えてきちゃうんだよね…。
「さ、食べましょ♪ 食べましょ♪ そうしましょ♪」
そんなのもつかの間。クリスタルは嬉しそうに箱の包装紙をビリビリと、まるでクリスマスにサンタクロースからプレゼントを貰った幼子のように破きだした。
その包装紙をポイポイと周りに投げ捨てていく。
「ちょっと! そんな慌てなくても…。ゴミはごみ箱に捨てなくちゃ」
どうせクリスタルにそんな事を言っても無駄だと知ってるけど一応ね。
僕はしぶしぶ拾い始める。
するとポコンと頭に何か当たった。なんだろ…?
僕は顔をあげるとクリスタルが僕めがけてゴミを投げていた。
「やめてやめてー!」
落ちてるゴミを拾いながらも病室内を逃げ回る。
「ほらほら。早く拾ってよ。部屋が散らかるでしょ?」
クリスタルは笑いながらゴミをばらまいてく。
ちょっと意地悪なクリスタルにこんな幸せがずっと続いたらな…と僕は思ってしまう。
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