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「ごめんね、こんな寒いのに屋上なんかで…」
「全然大丈夫。むしろ小堺さんの方が大丈夫?」
「うん、私も大丈夫。……それより、お味はどうかな?」
少し控えめに、心配したような表情で小堺が月乃に訊ねる。言わずとも、サンドイッチの味について聞いている。
「すっっごく美味しいよ」
単純な返答だが、それしか言えない。何故なら言葉の通りだから。
「本当?それ、私の手作りなの。よかったぁ、月乃くんにそう言ってもらえて」
それを聞いて小さく息をつき、パァッと笑顔になって小堺が言った。
その笑顔を見た月乃は顔を爆発させ、耳から煙が上がる。
(ま…真美夏ちゃんの笑顔……可愛すぎる…。まともに直視できないよ…しかも手作りって……)
完璧にゆで上がった頭を、冷たい空気を吸い込んで冷ます。
少し温度が冷め、話題を変えてみる。
「そ、それよりさ、なんで僕の事名前で呼んでるの?というか、なんで知ってるの?」
「月乃くん結構有名だから噂で聞いたの。…その、名前で呼ばれるの、イヤだった?」
「とんでもないッ!!!」と、首を物凄い勢いで横に振り、首から変な音と痛みを感じた。
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