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「だっ大丈夫!?」
首を押さえて悶える月乃に近付き、声をかける。
かけられた本人は心配された事と自分の愚かさに情けなさと恥ずかしさをビンビン感じ、顔を真っ赤にした。
「大丈夫…」と小堺に言って、気付く。
小堺の顔が自分の肩のすぐ近くにあり、密着した感じになっている事に。はたから見れば、心配して寄り添っているように見えなくもない。
と言うより、見える。
その光景を、屋上に繋がるドアの隙間から見ていた人がいた。
その人は眉間にシワを寄せて怒りを表しているが、表情はどこか暗い。
心に漂う居心地の悪いモヤモヤ。 それは、見つめる先で仲良く寄り添いながら昼食を食べている二人の姿を見る度に広がっていく。
つい手に力が籠り、手に持つあんパンを握り潰す。しかし、気にしない。
ただ黙って、あの二人の姿を見つめる。
やがて、その場を静かに去った。
「ねぇ、月乃くん」
「何?」
小堺のサンドイッチを二人で分けて食べ終えてちょうど、小堺が月乃に話しかける。
「今日の放課後……空いてる…かな…?」
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