184人が本棚に入れています
本棚に追加
「ほら朝よ、いい加減起きなさい!」
綺麗な声音を大きめのボリュームで出し、気分よく眠っている一人の少年の布団を無理やり剥ぎ取った。
剥ぎ取られた少年は「う~……」とうめき声を小さく溢し、猫のように丸まってしまった。
季節は冬。部屋の中でも寒い。唯一その寒さから身を守ってくれていた布団が剥がされれば、丸まっても仕方ない気もする。
が、それを彼女は許さない。
「学校よ!さっさと起きて着替えなさい月乃(つきの)!!」
「う~……、ん?」
「ん?じゃないわよバカ月乃!さっさと着替えて学校行くわよ!」
「ん~……………」
「コラ寝るな!さっさと起きろって言ってんでしょうが!!」
「ムギャ!」
敷き布団を強引に引っ張り上げられ、丸まっていた彼はみっともなく布団から転がり落ちた。
「むぐ~………ん?……なんだ、陽鞠(ひまり)ちゃんか…」
「なんだじゃないわよバカ月。さっさと着替えなさい、学校行くわよ」
「ん………うん、わかった」
最初のコメントを投稿しよう!