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それから十数分後。
「ぶは~!ぶは~!キッツぃ~~!!」
学ランを真面目に着こなした月乃は、顔中に汗をかきながら必死に自転車のペダルをこいでいた。
「ほらほら頑張りなさい。あとちょっとあとちょっと~」
その後ろでパンパンと手を叩きながら横向きに座る陽鞠。
現在彼らは、学校へと続く道を必死にこいでいる最中である。
本当ならば、月乃が起きたあの時間でも普通に自転車をこげば間に合ったのだが、月乃の母親とのんきにお茶を飲んでいた陽鞠のせいでさらに時間をロスしてしまった。
さらには陽鞠の自転車の後ろタイヤがパンクしてしまっていた事に丁度行くときに気付き、月乃は陽鞠を後ろに乗せて走る羽目になったのだ。
(クッソ~!なんでこんな朝から汗だくにならなくちゃいけないんだ~!?)
自転車をこぎながら心中で不満を漏らす月乃。
疲労と汗もあるが、後ろで愉快に笑いながら手を叩いている陽鞠の態度にもイライラしていた。
(なんでいつもいつも僕に関わるんだよこの子は~!)
誰に言うわけでもない、ただ一人言を心中で叫んだ。
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