184人が本棚に入れています
本棚に追加
「ハ~…ハ~…」
無事時間までに学校に到着し、自転車のハンドルにもたれかかりながら脱力する月乃の後ろで自転車から降りた陽鞠は、月乃の方を見ずに、
「さっさと自転車とめてらっしゃい。あたし先に行くからね」
と、言い残し、疲労に苦しんでいる月乃とその相棒を残して陽鞠は一人校舎へ向かっていった。
そんな後ろ姿を恨めしげに睨んだ月乃は、少しして頬に流れる汗を拭って駐輪場に自転車を起き、チャイムが鳴り響いたので慌てて校舎に向かって駆け出した。
めでたく遅刻扱いにされた月乃は授業間の休み時間、机に伏せながら今朝の疲れを取ろうとしていた。
そんな追い込まれた彼に、二人の男子が近付いてきた。
「おやおやぁ?どうしたんだいツッキー。そんなグロッキーになっちゃってぇ」
わざとらしく語尾を伸ばす話し方をする、お世辞にも似合っていると言えない鼠色のボサボサした髪のでかい男と、
「お疲れみたいですね、どうかしたんですかつっくん」
黒髪を綺麗な七三に分けたヘアースタイルの小さなお坊っちゃま風な少年。
最初のコメントを投稿しよう!