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二人は月乃と同じクラスでもっとも月乃と仲がいい友達。
「自転車かっ飛ばしてきたから…疲れてるんだよ…二人分運んだから…」
「それって、羽波さん?」
「うん……」
「ダッハッハ!あいっかわらず熱々だねぇお前らはぁ!」
黒髪の少年は苦笑いを浮かべ、鼠色の髪の大柄な男は豪快に笑った。
黒髪の少年の名は松ヶ崎 健吾(まつがさきけんご)。鼠色の髪の男は永弥 龍大(ながみりゅうだい)。
「だから言ってるだろ?僕たちは別にそんなんじゃないって」
龍大の発言に返す月乃は、ようやく落ち着いたのか息をフゥと吐いた。
「いやいやぁ、でもみんな言ってるぜぇ?あの二人出来てるってぇよぉ」
「知ってるよ……誰だよそんな噂流した奴は」
「全くですね」
ため息をつく月乃に愛想笑いを浮かべる健吾。
実はこの愛想笑いを浮かべた彼が張本人だという事は、月乃は知らない。当然、龍大は知っている。
月乃と陽鞠は幼馴染み。家も近所で通ってきた幼稚園、小学校、中学校、そして今の高校までずっと一緒なのである。
この事を周りの者たちからは、『月陽の定め』と、影で囁かれている。
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