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「……ふぅ…」
現在授業中。これを乗りきれば昼休みだ。
それをわかっていながら、月乃はため息を吐く。その理由は、授業終了のチャイムが鳴った事によって明らかになる。
「月乃!」
先生が教室から消えた瞬間、鋭く名前を呼ばれた。
そして再びため息を吐き、後ろを振り返る。
「購買行くわよ、さっさとしなさい」
「……わかったよ」
小さく不満げに答え、声の主の後についていく。声の主は言わずとも、陽鞠なのだが。
教室を出て廊下を歩き、階段を降りていく。
しばらくして突然、陽鞠が立ち止まり、眉間にシワを寄せて後ろを向いた。
「遅い!さっさと歩きなさいよ!売りきれたらどうするのよ!」
見つめる先で、ノロノロと階段を降りてくる月乃に向かって叫ぶ。
手すりを持って一段一段踏みしめて降りてくる月乃を睨み、イライラしながら陽鞠はこめかみに血管を浮かばせ組んでる腕を指で叩く。
「先に行っていいよ。僕お腹空いてないからいらないし」
「だとしても早くしなさいよ!」
「やだよ。食べないんだから急ぐ意味ないじゃん」
「あ~うるさい!じゃあ教室に戻ればいいわ、授業中お腹鳴らしても知らないから!!」
そう吐き捨て、陽鞠は走り去って行った。
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