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陽鞠が走り去っていく姿が見えなくなったと同時に、月乃は拳を握ってガッツポーズを取った。
貴重な昼休みの時間を陽鞠に奪われてたまるか、そう思っていた月乃はわざと陽鞠を怒らせるような事を言ったのだ。
しかし、実のところ月乃は若干空腹になっていた。
朝ごはんは慌てていたためすぐに消化されたし、エネルギー残量は少ない。
今のままで午後の授業を乗り越えれるかと言うと、非常に厳しい。もしかしたら、陽鞠の言う通り授業中に腹の虫が鳴き声をあげてしまうかもしれない。
どうしたものか…。と自分の腹をさすりながら考えて教室に続く廊下を歩いていると、
「あ、月乃くん」
一人の女の子に話しかけられた。
パッチリした目に美しく白い肌、整ったスタイル。黒く煌びやかな長い髪を背に靡かせたその少女を見た瞬間、月乃の背筋がピンと伸びた。
(こッ……小堺 真美夏(こさかいまみか)ちゃん!?学年…いや、学校内で一二を争うと言われるほどに可愛い女の子が、どどど、どうして僕なんかに話しかけてきたんだ!!!??)
突然過ぎる出来事に完全にパニックになった月乃は、顔を真っ赤にして目をグルグル回す。
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