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「それはいかんな。」
グリーンブラッドは顔をしかめて、考え始めた。
「何がなの!!」
ボルト先生は敬語を使うのも忘れて、一人で唸っている校長に噛みつくように言った。
しかしグリーンブラッドは驚きもせず、さらりと答えた。
「アリスが見つからぬ。」
「当たり前です!!もう死んでしまったか――」
「遺体の話だ。」
グリーンブラッドが答えた。
ボルト先生の顔が輝いた。
「では、アリスはまだ生きてるんじゃ――」
「その可能性はまずない。」
たちまちボルト先生の顔が曇った。
「まず、現場に彼女の血が見つかっている。更に決定的なのが、彼女の籍が消えたのだ。魔法界最高議事院に記されている籍が自動的に消えれば、その人物は永久に死んだ事になるのは君もご存知の筈だが?」
「しかし、それは魔法で消せます――」
「魔法界最高議事院には、まずもって侵入不可能だ。」
ボルト先生は言い返せなくなった。グリーンブラッドの推察が、十中八九間違いないのは誰でも知っている事実だ。
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