レオナルド・グリーンブラッド

8/11
前へ
/34ページ
次へ
「それはいかんな。」 グリーンブラッドは顔をしかめて、考え始めた。 「何がなの!!」 ボルト先生は敬語を使うのも忘れて、一人で唸っている校長に噛みつくように言った。 しかしグリーンブラッドは驚きもせず、さらりと答えた。 「アリスが見つからぬ。」 「当たり前です!!もう死んでしまったか――」 「遺体の話だ。」 グリーンブラッドが答えた。 ボルト先生の顔が輝いた。 「では、アリスはまだ生きてるんじゃ――」 「その可能性はまずない。」 たちまちボルト先生の顔が曇った。 「まず、現場に彼女の血が見つかっている。更に決定的なのが、彼女の籍が消えたのだ。魔法界最高議事院に記されている籍が自動的に消えれば、その人物は永久に死んだ事になるのは君もご存知の筈だが?」 「しかし、それは魔法で消せます――」 「魔法界最高議事院には、まずもって侵入不可能だ。」 ボルト先生は言い返せなくなった。グリーンブラッドの推察が、十中八九間違いないのは誰でも知っている事実だ。
/34ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加