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「…はい。存じております。」
ボルト先生はそれだけ言うと、扉を開いて去っていった。
しばらくすると、扉の向こうから啜り泣く声が聞こえてきた。
グリーンブラッドは気を取り直し、おもむろに、ゆっくりと立ち上がった。
ウィックは眠気にまどろんでいた。
そのブルーの瞳には、ただ無邪気な光しか無かった。
グリーンブラッドは指輪に向かって唱え、そこからベッドを取り出し、ウィックを寝かせた。
それから今度は机に座り、引き出しから紙を一枚と万年筆を取り出し、ノープルーフ家に手紙を書き始めた。
それを封筒に入れ、蝋燭の蝋でくっつけてからアブラクサスに渡した。
アブラクサスは真っ黒なカラスに変身し、嘴にそれをくわえると、開け放した窓から飛び立った。
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