レオナルド・グリーンブラッド

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その姿が闇に完全に溶け込むまで眺め、それからブルッと身震いし、窓を閉めた。 ―――ノープルーフ家はたぶん、快くウィックを迎え入れてくれるだろう。 (そう言えば、つい最近あそこの家にも、たしか“アンドリュー”という子供が産まれたな…。ウィックの良き友になってくれれば良いのだが……) グリーンブラッドは急に眠気を覚え、自分も書斎を出て、ベッドルームへと歩き始めた。 灯かりを消して、ベッドに入り込んですぐにある事を思い出し、また灯かりを点けた。 のっそりと起きて書斎に戻り、ウィックがすやすや寝ているのを確かめると、赤ん坊が送られてきた時に散らかった書類を、また選り分け始めた。 ――あの母親は最期まで私の手を焼かせたな…。 切ない想いでそんな事をボンヤリと考えている内に、書類は片付け終わっていた。 そして今度は机に深く腰かけると、偉大な魔法使いは再び、書類に目を通す仕事を始めた。
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