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これだけおばさんが機嫌が良いからには、こちらも油断していてはいけない。
なにしろおばさんの機嫌がいい日には、何かしら不吉な事が起こるからだ。
しかし今日は、いつもの二倍も三倍もきみが悪かった。
(こりゃぁ普通に過ごしていたんじゃ、自分の命が危ういな…)
そう感じたウィックは、急いで微笑み、そそくさとキッチンを出ていった。
リビングに戻ると、おじさんとおばさんの実の子、“アンドリュー”が、不安そうな顔で立ちすくんでいた。
ウィックは普段、アンディと呼ぶことにしている。
「どうだった?」
「良くないね。今は自分の身に何があってもおかしくない。――――何しろ今日はヤバイんだ。」
ウィックが答えると、アンディはブルブル身震いした。
アンディは両親譲りの茶髪で、とても頭が良く、ハンサムだ。
しかし、おっちょこちょいなので、いつも何かをやらかす。
その度にアンディが叱られて、涙目で帰って来るのを見て、ウィックはいつも笑いを堪えていた。
アンディは、未だに震えながらキッチンへ入っていった。
ウィックは、キッチンから聞こえてくる音を一つも聞き漏らすまいと、体中を耳にして聞いていた。
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