炎撃のような夏の空

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 由宇葉に殴らた場所をさすりながら、朝飯を見る。朝飯は、白菜の漬け物に鰺の開き。味噌汁に白米。納豆は小鉢にしっかりと用意されていた。長葱もある。 「お前、珍しくまともな朝食を作るみたいだけど、何か企んでるのか?」 「うん、ちょっと痺れ薬を試したかったから張り切っちゃった」  …………嘘だよな? 俺がふざけた発言したからからかってるんだよな? 「冗談ですよね?」  冷や汗をダラダラと垂らす。心拍数もハンパなものではなくなった。 「お好きにとらえてください。私はいただきます」  そう言って味噌汁のお椀を手に持つ。啜る音が聞こえないし、喉も鳴らさない。でも、卓上に置かれたお椀の味噌汁のかさは減っているようだ。美しい。 「私の料理は食べれないの?」 「いえ、いただきます!!」
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