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朝、父さんが会社へ行くのを見送った後、今日来るであろう人のために部屋の掃除に取りかかった。
今は夏休み中なので、時間に余裕はある。
「あ、何かお茶菓子とか買って来た方がいいかな?」
掃除機をかけながらふとその考えがよぎった。
父さんが帰ってくるまでその人の相手をしなきゃいけないんだろ?
なら、それまでの繋ぎとして何かあった方がいいかもしれない。
でもその人の好みとか知らないしなー…。
とりあえず、適当なものを購入してリビングのソファに腰を下ろす。
もうすぐ約束の時間だ…。
壁にかけられた時計の短針がもうすぐ2に向かおうとしている。
父さんが言うには、その人の特徴は「茶髪のロング、綺麗な人で、年相応に見えないほど見た目は若い」らしい。
外見に関しては長髪の茶色くらいしか情報は得られなかった。
名前は「楓」さん。
どんな人なのか、頭の中で想像してみる。
うん、とっても優しそうで、笑顔もとっても素敵な人だ。
僕はまだ見ぬ人にそんな想像を膨らませながらソワソワしていた。
ピンポーン。
それから少しして、インターホンが来客を知らすために音を鳴らす。
来たっ!!
僕の緊張度数は一気に最大を迎え、バクバクと高鳴る胸を抱えて玄関まで駆けていった。
そしてゆっくりと玄関のドアを開いた。
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