Scene1☆二度目のスタートライン

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 三月最後の金曜日のランチ帰り。   咲きはじめの桜の花が、強風にもぎ取られるのを見ながら。  サラリーマンやOLが過ぎ行くのを見ながら。  突如ほろりと涙が零れ落ちるのを、必死で堪える。  けれども、どれだけの人が周りに居ても、誰一人として、私の足がまるで錆びたブリキの玩具のようにノロノロと動くのにも気を留めない。  当たり前のそんなことが、世界に独り取り残されたようで、また涙の量が増えた。
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