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「だ、だって、昨日出来なかった分も取り戻したかったし、それに」
「それに?」
「…いっつも以蔵のほうが早く来てるから、たまには先越してやろうと思って」
「…!」
ん?
以蔵、なんかびっくりしてない?
「以蔵、どうかしたの?」
そう聞いてみると。
「いや、なんでもない」
そう返ってきたけど。
「…だったら、どうして笑ってるの?」
「っ!」
私の言葉に、以蔵はちょっと赤くなった…ような気がした。
でも、すぐに。
「…っ、さっさと始めるぞ!!」
怒ったように言って、そっぽを向いてしまった。
え?な、何で急に、不機嫌なの??
戸惑う私を尻目に、以蔵は今居た場所から数歩下がると、いつも通りの下段の構えを見せる。
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