3人が本棚に入れています
本棚に追加
ACT00 ―――――――
灼熱の業火が街を焙る。
・・・見慣れたあの景色は二度と戻らない。
だがそんなことはもう―――どうでもよかった。
愛する者を失った悲しみ・・・、
後悔の念が胸に渦巻いていた。
もう二度と、彼女の声も、
温もりも、優しさも、
あの笑顔にも、もう手が届かない・・・。
その現実が重くのし掛かる。
やがて、涙と悔吾の思いは
憎しみの黒き炎に変わった。
自分の中に猛る暗き焔を解放した今・・・。
世界を焼き落とすことも容易い。
燻る魂の灯火全てを燃やし尽くすまでに、奴を殺す・・・。
いや、もう、彼女の居ない世界なんて滅んでしまえばいい。
全ての生あるものに悠久なる眠りを与えよう・・・。
炎海の中、男は空を仰ぎ、
凄惨な声をあげた・・・。
最初のコメントを投稿しよう!