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・・・。
流れる薄いブロンド。
ボクは翡翠色の溢れそうな瞳と見つめあう。
どこか怯えた表情浮かべる少女。
何故か高鳴る鼓動。
震える指先で
ボクは恐る恐る、彼女の白い頬に触れた。
この寒さで冷えきっているのだろう。
だが、自分の持たない微かな暖かさを指先で感じた。
「貴方は・・・?」
澄んだ声だ。
それだけで、脳が痺れるような衝動に襲われた。
「ボクは・・・」
一瞬の思考。
「悪人から君を守るために現れた正義の味方・・・かな」
あらかた嘘ではない。
もっと自信を持って言えるようになりたいところだな。
途中から気恥ずかしくなったが、改める気はない。
「・・・正義の味方?」
だが驚いたことに、
返答は予想していた呆れた声ではなく、
なにかを期待するかのような声。
こんな反応は初めてされた。
「・・・うん、正義の味方」
だから、月並みな返答しか出来なかった。
「・・・ほんとうに?」
「うん」
じぃーーっ、と見詰められた。
恥ずかしくて視線を逸らしたくなったが、我慢。
ボクも少女の濡れた瞳を見つめる。
「・・・うれしい」
そう言って、花が咲いたようににっこりと顔を綻ばす少女。
それだけで、ボクには世界が光輝いて見えた。
痒くもない頭を掻く。
「それじゃ、ボクの秘密基地へ行こうか」
はいっ、と頷き立ち上がりかけた少女だが、やはり寒さが呪うのだろう。
ぐらりと体勢を崩してしまう。
「おっと」
ボクは反射的に倒れかかる少女を抱き止めた。
いわゆるお姫様抱っこ。
「・・・ぁぅ」
「?」
頬を赤く染め上げる少女。
咄嗟に受け止めたため、
なんだかこっちも恥ずかしい。
心の準備がね・・・。
とにかく、女の子には優しく接するのがボクの主義だから。
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