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「知らない知らない知らない知らない……」
頭を抱え込んでレベッカはぶつぶつと呟いたが、ふと気配を感じて振り返る。部屋の中には2ハンドがいた。
「お帰り」
「居たの」
少し間を置き、2ハンドが言う。
「俺の中に『鵺』が居る」
レベッカは茫然とする。
「ナノマシンを介した……特殊非現実……イメージ、共有」
逃げ切れなかった。
「どうして俺がこんなに強くなったのかわかったよ。マリアが教えてくれた。『鵺』は自分が強くなるために戦闘のデータをナマモノとして残したんだ。戦闘エリアの中の意識や恐怖やイメージといった生々しいデータを、殺さずに生かしておいた俺の中に」
「まるで、メモリースティックだわ……」
終わった。
「そうだな。結果的に俺は『鵺』にとって強くなりすぎて、2ハンドになった俺がマリアを殺した。だから今この頭の中にはマリアの残子も遺っていて、死んだ傭兵連中すらもいて。あんまりカオスなもんで、容量一杯でわけわかんなくなっちゃってさ」
「そう、そうか……貴方もあのマリアという子と同じ、否応なしの境遇からはい上がってきた人間だから……、あの子が一つささやけば、貴方があの子の側につくのはあたりまえだ」
終った。
「…………」
なら、これで、もう。
「いいよ、もう殺してよ。逃げ切れる資格なんて、あると思っていなかったよ……。でも自分で死ぬなんて、怖くて、イヤ」
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