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レベッカは頭を抱えて震えた。佇みながら、2ハンドは困ったような顔をする。
「それがさ、俺も意外だったんだが、殺そうという気もちがこれっぽっちも起きないんだ。マリアは、あの子本人が死ぬ前にはもう今の俺と同じぐらいわけが分からなくなってたのさ。まともな人格らしいものを留めていないんだよ。まるで雑踏の中にいるみたいに、あれやこれやを見分けられなかった。もう、あの子と見分けられるものの中に明確に残ってたのは死への嫌悪感だけだ。 そして、俺はレベッカを殺したらその報いを受けなきゃならない。頭の中のマリアはやる気を見せないし、傭兵連中は死にたくない死にたくないの大合唱だ。オリジナルは当の昔に死んじまってるっていうのに。これじゃ、もうわけがわからなくてさ」
「じゃあ何しに来たの……」
「それがその、なんていうか……とりあえず冷静になるためにコーヒーでもいれてもらえませんか」
「…………」
「レベッカ……さん」
「水道水おいしくないから水買ってきて……」
「あ、うん」
「まじで何しにきたの」
ぐすん。
おわり。
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