少年たちの物語-パンプキン-

#1-未熟なギタリスト

ギターを練習するようになったのは今から１ヶ月ほど前。
その日はあまりにも暇だったから隆弘の家に遊びに行こうとしていたんだ。

いつも通り意味もない会話をして、その日は終了…するはずだった。しかしその予定はあることをきっかけに崩れる。

胸の奥にあった何かがざわめいている。

そのざわめきが何かとは気付かなかった。

隆弘の後ろにあるものを見るまでは。

ギター

後から知ったのだが、レスポールという形式のものらしい。

俺は隆弘の話そっちのけでそのギターに魅入った。

何かがこみ上げてくる。高校に入ってから現実というものを知った俺の中に。

気付いたときには口走っていた。

｢バンドが組みたい｣

と。