6人が本棚に入れています
本棚に追加
やっとこいつの言ったことを理解した俺は、冷静に答える。
「バンド組むもなにも…お前ギターとか弾けないだろっ!」
言いながら少し苦笑してしまった。
俺は次の展開をなんとなく想像した。
(いや、俺はボーカルやるから!!)
しかし、こいつは俺の想像を見事にぶち壊した。
「だからこれからギター練習するんだって。お前んちで。」
「は?」
まさか本気か?
この言葉を疑問詞のあとに続けようと思ったが、続けなかった。正確に言うと、続けれなかったのだが。
こいつの目は、さっき以上にキラキラしてきている。
「……まぁ俺は基本いつも暇だから、ギターの練習だけならいつ来てもいいけど。」
恐らくこの言葉が全ての原因だろう。
徳は目を大きくして
「マジ!?じゃあ明日から毎日来るよ!!」
と叫ぶようにして言った。
「んじゃぁ今日はもう帰るから!!」
そう言ったあと、徳はすぐに俺の部屋から出ていった。
ダダダダダダッ
階段を急いで降りる音がする。
…まぁどうせすぐ飽きるだろ。
俺はこの時、そう信じて止まなかった。
最初のコメントを投稿しよう!