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水面(みなも)の高さにある赤い痣を一撫で。
何も言わない男がただ一つ残す羨望の証は今日も左胸に色濃く残っていた。
けれども、それも最後。
これからは元の白い肌に戻る。
ただいつでもそこに主張する幻覚を私の脳裏に焼き付けているから、きっと私は永遠にその痕を見つける。
なるべく男の気配が消えないように。
こうしている内に男が居なくなってしまわないように。
ざばっと重たい体を水から出す。
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