3人が本棚に入れています
本棚に追加
チヌークが轟音をあげながら着陸する。数は四機。
中から出てくるのは避難民たちや疲れ果てた自衛官たちだ。
「テントで採血を行って下さい!!」
自衛官たちが誘導を行っている。そのなかには警官の姿もある。
「陣内ちゃん、あと何人収容できると思う?」
柳田竜一は89式小銃にマガジンを差し込む女性に質問した。
「わかりませんよ。言えるのはここも長くは持ちません。」
「だよねぇ。ま、九州か北海道に脱出できれば儲けもんだけど。」
戦闘食糧II型を口にほおばりながら言った。
「空自が言うには脱出は2ヶ月先らしいです」
この駐屯地の近くには美保基地がある。ここからならすぐに迎える距離だがあいにく一般機、C-1輸送機共々出払っている。その理由は危険が高い場所から優先されるからである。
まあ、米子駐屯地から美保基地までの区域まではバリケードを築いているし、日本原から撤退した戦車中隊の活躍で安全確保されているが、バリケードの向こうは動く死者が群がっている。
自衛隊などは動く死者のことを部隊ごとではあるが映画にちなみ「デッド」と呼んでいる。
最初のコメントを投稿しよう!