1章 襲来

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チヌークが轟音をあげながら着陸する。数は四機。 中から出てくるのは避難民たちや疲れ果てた自衛官たちだ。 「テントで採血を行って下さい!!」 自衛官たちが誘導を行っている。そのなかには警官の姿もある。 「陣内ちゃん、あと何人収容できると思う?」 柳田竜一は89式小銃にマガジンを差し込む女性に質問した。 「わかりませんよ。言えるのはここも長くは持ちません。」 「だよねぇ。ま、九州か北海道に脱出できれば儲けもんだけど。」 戦闘食糧II型を口にほおばりながら言った。 「空自が言うには脱出は2ヶ月先らしいです」 この駐屯地の近くには美保基地がある。ここからならすぐに迎える距離だがあいにく一般機、C-1輸送機共々出払っている。その理由は危険が高い場所から優先されるからである。 まあ、米子駐屯地から美保基地までの区域まではバリケードを築いているし、日本原から撤退した戦車中隊の活躍で安全確保されているが、バリケードの向こうは動く死者が群がっている。 自衛隊などは動く死者のことを部隊ごとではあるが映画にちなみ「デッド」と呼んでいる。
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