Nothing, but only

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「入れない」  努めて発した固い言葉に男の肩が微かに震えた。 「…悪かった」  本人は決して気付いていないであろう、幼い子供の震えるような表情。  それに無口な男が精一杯作った言葉。  手に握った鍵を握り締め、胸に溜まっていた空気を吐き出した。  また男の肩が震えた。 「そう。」  手の中の鍵がちゃりっと音を立てた。
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