Nothing, but only

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 冷たい雫が咲き誇る紫陽花の分厚い葉を濡らしていく。  徐々に華奢な折り畳み傘を打つ音が大きくなっていくのを頭のどこかで聞いていた。  大通りなので途切れなく過ぎていく車を気にする必要も無く、駅までの道を一歩一歩錆びついたブリキの足を持ち上げるように鈍々と歩く。
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