Nothing, but only

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 駅前の信号を待っているところで、視界の端に一組の男女が少しだけ互いの傘を重ねて仲良さげに話しているのを捕らえた。  フラッシュバックするのは二年前の自分。  同じように二回前の梅雨の季節、薄暗い中男と二人、傘をさしていた。  突然降り始めた雨で、あったのは男の傘一本。  二十代も後半に差し掛かっていた身としては相合傘をしている所を誰かに見られようものならたまらなくて、肩が濡れるのも構わず精一杯男との間に距離を作った。
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